p. 303-308
本研究では、オーナー制度が導入されている千葉県鴨川市の棚田(大山千枚田)の畦畔法面部に生育する希少種コケリンドウ(二年生植物)を対象とし、本種の成長が旺盛な開花期初春の生育状況を、現地植生管理形態と関連させて把握した。2005年度春季における出現固体数は8500であり、当地における年間の草刈り回数は5~8であった。本種の分布域のうち、31箇所について調査した。その結果、例年、秋収穫後と初春田植え前の未耕作期に草刈りが行われていた16箇所で、出現個体数が多い傾向が認められた。つまり、初春の生育期に陽光をより多く確保できる状況が、本種の保全に深く関与していることが考えられた。