環境情報科学論文集
Vol.19(第19回環境研究発表会)
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徳島県美郷地区における河川環境とホタル生息分布との関係
篠村 善徳穴澤 活郎佐藤 正勝
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p. 297-302

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抄録

ホタルの里として知られる徳島県美郷地区では、地区内の2水系においてゲンジボタルの生息分布が大きく異なる。そこで本研究では、これらの水系における河川の化学的環境の相違に着目し、ホタルの生息分布と河川水質・底質との関係を考察した。その結果、ホタルの飛翔が観察されない水系では、エサとなるミスジカワニナの生息が確認されなかった。この水系の上流域では鉱山廃水の流入が見られ、下流域にわたって高濃度の重金属が底質中から検出された。もう一方の水系では、家庭排水による汚染が確認されたにもかかわらず、ゲンジボタルの飛翔が数多く認められた。このことから、ゲンジボタルは重金属汚染には極めて影響を受けやすい一方で、生活系の排水にはある程度の抵抗性があることが判明した。このように本研究により、河川の化学的環境が規定するホタルの生息条件に対して、一つの示唆を与えることができた。

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© {2005}(社)環境情報科学センター
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