緑地の孤立化に伴う鳥類相の退行が、繁殖期において樹林地を主体とした都市緑地に認められるか検討した。既往研究から得たデータを対象にメタアナリシスを行い、出現種がより豊富な緑地に見られる種は出現種がより少ない緑地に見られる種を包含するという、入れ子状の種組成変化のパターンを得た。そこで限られた緑地にのみ見られた種の数を説明する重回帰モデルを構築したところ、樹林地面積に加えて緑地周辺の都市的土地利用比率を説明変数とするモデルが得られた。都市的土地利用に囲まれた生息場所は孤立化しやすいことがわかっており、この結果は孤立化による鳥類相の退行が繁殖期の都市緑地においても見られることを示すものといえる。