多摩川中流域における、1977年から2001年までの6時期の植生図を用いて、侵略的外来種ハリエンジュを対象とした植生の変遷について考察した。植生図GISデータを用いて面積と空間分布を解析したところ、ハリエンジュ群落は、高水敷が冠水する規模の複数の洪水が発生した後の1980年代に著しく分布を拡大していた。近年では面積の増加率は低下しているが、依然として分布拡大の傾向が続いていることが認められた。さらに、ハリエンジュ群落が侵入・定着し、分布を拡大した地域は、ススキ群落やツルヨシ群落を始めとするイネ科多年生草本群落と、ヤナギ類低木群落が成立していた立地が大半であることが明らかになった。