抄録
現在、平成12年に発覚した岩手・青森県境での大規模な産業廃棄物不法投棄に対し、原状回復のための事業が進行中である。廃棄物の撤去計画を遂行し、将来にわたって問題の再発を防ぐための方策を検討していくには、市民がどのようにこの問題を捉えているかを認識することが必要である。本論文では、投棄現場からの距離および都市規模の異なる岩手県内の3つの市町村(盛岡市、九戸村、沢内村)を対象に、CVM調査を実施した成果をまとめた。調査の結果から、支払意志額は都市部である盛岡市において最も高いこと、必ずしも現場からの距離によらないことなど、地域による相違がみられることを明らかにした。