周辺の地下水位の低下に伴って非湿原性植生のササ群落が侵入している北海道サロベツ湿原において、湿原植生の変動を把握するために人工衛星データを使用して解析した。GPS等によるササの侵入前線の実測により、現在もササがミズゴケを中心とした高層湿原植生域の方向に徐々に進行していることが確認された。衛星データを用いた地表被覆分類におけるササ・ミズゴケの境界線とササ侵入前線とに挟まれたミズゴケ領域を混合域と定義して、混合域と同じ分光反射特性を示す領域を調査した結果、ミズゴケ領域内の特異な植生状態を示す場所を抽出できることが判明した。