抄録
近年行き過ぎた植栽の安全管理が散見されることから,植物が交通の障害となったことにより発生した事故の裁判事例を分析し,植栽の必要最小限の安全管理基準を明らかにすることを目的とした。主にインターネットデータベースを用いて裁判例を収集し,判決上重視された要素と管理者の法的責任の関係性を分析した結果,通行することに心理的な抵抗を感じる程度の植物による交通障害も放置することのないように管理する必要があることや,交通障害の発生が予測できたはずなのに事故発生防止措置がとれていなかったと判断されるような場合には,交通障害除去のための時間的な余裕がなかったとしても不可抗力は認められないことなどが明らかになった。