抄録
本研究では,わが国において,今後,樹木リスク管理を導入する際に検討課題になるとみられる論点について検討することとした。ここでは,ハザードとリスクの考え方,樹種による被害の差・腐朽と被害との関係,樹木の構造的強度の見方と把握手法,リスクの点検・評価,リスク軽減対策の優先順位を主眼として,国内における実態を踏まえつつ,学術論文,書籍並びにインターネット検索から得た文献資料をもとに課題を整理し検討した。その結果,統合的な樹木管理計画や樹木リスク管理に対する合意形成,従来の学問領域を超えた学際的な研究の枠組みが必要なことが確認された。