抄録
愛知県におけるカシノナガキクイムシ(Platypus quercivorus) によるナラ類萎凋病被害は,2005年に初めて確認され,2007年には愛・地球博記念公園でも確認された。本研究では,当公園内におけるナラ枯れ被害の状況把握と,その対策としての薬剤費の試算を行った。その結果,コナラ・モンゴリナラ枯死率は,林床花園で17.0%,親林楽園で14.3%であった。また,公園全体での薬剤注入を行うべき対象樹木は587本あり,その費用は3394400円,伐採処理費3000000円と合わせ6394400円の初期費用が必要と試算された。公園内のコナラ・モンゴリナラ維持には,保存価値の高いモンゴリナラから薬剤注入を実施することが適当だと思われた。