p. 335-340
夏期に発生する屋外の熱中症リスクを地域メッシュとして評価できる数値モデルを構築し,2007年の大阪市街地を対象にシミュレーションをおこなった。この計算からは,500mで細分化した大阪市内においても熱中症リスクの地域差が認められた。屋外の熱中症リスクはメッシュ街区の平均天空率と強い正の相関を示したが,これは日中の放射環境の影響を受けた結果であった。熱中症リスクの地域差は,天空率のような街区構造パラメータに加えて,沿岸と内陸といった気候特性の違いも因子として示唆された。したがって本研究で提案する,メソスケール気象から都市や人体のスケールまで連成結合させた地域のメッシュ化によるシミュレーション手法が,熱中症リスクの将来予測にも有効と考える。