抄録
本研究では,低炭素志向のツアーオプションを含む仮想的な観光ツアーへの市民の支払意思額(WTP)に対するアンケートをともに,WTPに影響を及ぼす要因を分析した。推定されたWTPは環境配慮や地域の観光振興への関心や観光行動の積極性により高い傾向を示した。重回帰分析の結果,男性,60歳以上,ツアー選択の際に旅行費用を重視する属性はWTPを下げる一方,間接的要因としては,環境や歴史・文化を配慮した観光地の選択,観光振興への興味,自然エネルギーへの認知などがプラスに作用し,エコツアーの環境価値を高めるには,これらの要因への対応が重要であることが示唆された。