抄録
近年の生物多様性への関心が高まるにつれ、各種の自然保護法が整備されてきている。しかし、現在の法制度を見ると、自然保護に係わる法律であっても十分に機能していない法律も存在する。そこで、本稿では「諸法のグリーン化」という考えについて、既往の論法やその事例を検証した上で、諸法のグリーン化を実現する上での課題や限界について考察を行った。その結果、日本では諸法のグリーン化が進められているものの、調和条項との抵触により目的を達成することが困難な法律も存在することが確認できた。そこで今後は自然保護や自然改変に係わる法律については、生物多様性基本法の傘下に置き、運用していくことが望ましいと考えた。