抄録
何世代にも渡りブータンの農家は,森を管理し落ち葉を集めて農業に利用してきた。これは畑作-畜産複合システムにおける重要な肥料資源で,今日も続いている。増産と作物多様化への試み,有機農業政策,森林の所有権・使用権に関する法の改正が,落ち葉集めの伝統に影響を与えている。 本研究では2014 年1 月から3 月と10 月の二回,社会経済的条件と農業の特性の異なるブータン西部 3 地域で世帯単位のアンケート調査を実施し,落ち葉収集,化学肥料の使用,農耕地の増減に関する農家の意識を分析した。その結果,農家がどのように増産,土壌の肥沃度管理に対処しているかに地域の特性が見られた。またそこから,伝統的資源利用の今日の変遷も展望できるだろう。