紀の川における栄養塩類が関わる問題として,藍藻類が発生する2-メチルイソボルネオール(2-MIB)による水道水の異臭味がある。既存の水質観測データでは,全リン(TP)濃度が0.02mg/Lを超過した場合に2-MIB濃度が高くなる傾向が認められた。そこで,物質負荷量解析と河川水質解析を実施し,TP濃度の上昇を抑制する対策案を検討した。その結果,産業系の排出負荷量を抑制するために水質汚濁防止法の排水量の裾下げ規制を適用することで,約50%の負荷量削減効果があることが示された。また,河川水質解析より0.015mg/L程度までTP濃度を低下させることができ,2-MIB濃度の上昇抑制につながることが示唆された。