抄録
本研究は,森林の適正な管理政策を導くために,中山間地域の一つである鳥取県南部町における不在村者の森林を中心とした財の所有動態を明らかにした。地理的指標,社会経済的指標から南部町の特徴を位置づけた後,南部町の森林所有に関するデータを観察した。その結果,山間部・平野部でもなく,過疎・都市ではない「中間部」に位置する南部町では,不在村者は森林に対する所有認識はあっても,森林の管理は行われていない傾向にあることが明らかになった。本研究により,これまであまり着目されてこなかった国内に無数に存在する「中間地域」における,財の管理動向が明らかになった。