抄録
長期間の防災事業では事業の遅延が発生する。政策決定者がその影響を認識しない場合,その遅延期間は厚生損失に繋がる可能性がある。本研究では,コンジョイント分析を用い,津波対策事業の遅延による厚生損失の推計を行った。厚生損失は,2 年遅延した場合が301 円/年~359 円/年,4 年遅延した場合が848 円/年~926 円/年,6 年遅延した場合が984 円/年~1,199 円/年として推計された。結果から回答者の死亡リスクの見積もりが低い場合,MWTP の値は死亡リスクおよび世帯所得から影響を受け,高い場合は死亡リスクの影響が強いことが示唆された。