本研究では,鳴門海峡の眺望景観における構成要素および構成領域の現状と課題を評価した。28 の視点場の景観構成を分類した結果,A~K の11 タイプに分けられ,I・J・K が多層化した優れた視点場と示された。また,海峡の自然的な視対象の阻害要素として,大鳴門橋,建物,道路など7 種の阻害要素が抽出され,大鳴門橋は海峡に近い名勝指定地域の眺望に大きな影響を及ぼしていた。また,可視頻度分析により,対岸の建物や道路などの人工物が可視頻度の高い領域に位置する課題や,国立公園区域外の山地部も含めた景観構成領域の重要性が示唆された。