環境情報科学論文集
Vol.35(2021年度 環境情報科学研究発表大会)
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報告
洋上風力発電を巡るステークホルダー分析と合意形成に向けた課題
秋田沖を例に
小林 正典
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p. 268-273

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抄録

気候変動対策として温室効果ガス排出の抑制と再生可能なエネルギー供給の推進に向け、我が国では2018 年に再エネ海域利用法が制定された。洋上風力発電の事業化支援に向け、洋上空間の長期占有が認められ、指定された推進区域では協議会を通じて利害調整が進められている。本研究では、文献調査や聞き取りを通じて、洋上風力発電に関連するステークホルダーの利害関係の構図化とその分析を行った。ステークホルダーの多様性に対し、法規上の協議会の構成は限定的で包摂性が乏しいと考えられた。民間企業としての分類される事業者の利害は一様ではなく、製造、組立、施行、管理、投融資など多様な事業形態があり、本社や株主の所在地なども多様でありうることが分かった。こうした多様性に留意したステークホルダー分析を踏まえ、参加型合意形成と持続可能な海洋経済を通じた地域社会の利益の増進に資する制度的発展を進めることが肝要である。

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© 2021 (社)環境情報科学センター
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