コウノトリの野生復帰について,本研究では最初に放鳥を実施した兵庫県豊岡市,野外繁殖が成功している島根県雲南市,野外繁殖が期待される茨城県神栖市でそれぞれ実施したアンケート調査結果から,住民のコウノトリの捉え方を比較した。目撃経験の割合が低い神栖市でもコウノトリそのものの認知は高く,「環境のバロメータ」として肯定的に捉えられていた。コウノトリを地域資源と見なすには野外繁殖が数年間成功することが前提になるという示唆が得られた。「環境のバロメータ」として住民から受け入れられること,野外繁殖が数年間成功していくことで地域資源とする捉え方になると期待される。