環境情報科学論文集
Vol.37(2023年度 環境情報科学研究発表大会)
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研究論文
高温経験の遷延性を考慮した高齢者の熱中症と虚血性心疾患の死亡リスクの地理的差異
大橋 唯太井原 智彦高根 雄也
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p. 27-32

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抄録

東京23 区の夏季熱中症と虚血性心疾患の高齢者死亡リスクを,沿岸と内陸の地域別に高温経験の遷延性を考慮して解析した。日最高気温99 パーセンタイルの37℃高温経験は,沿岸地域で3日後,内陸地域で6日後まで熱中症リスクを高めていた。日中の高温条件では沿岸のほうが内陸よりも死亡リスクが高い一方,夜間の高温となる日最低気温28℃では逆に内陸のほうが死亡リスクは高くなった。虚血性心疾患の遷延性は特に沿岸地域で熱中症よりも長く12~13 日後までみられ,死亡リスクも沿岸が内陸よりも高くなっていた。日中の気温が高い日ほど業務・商業施設が集中する沿岸地域への高齢者の流動人口は減少し,気温による大規模な行動変容が確認された。

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© 2023 (一社)環境情報科学センター
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