抄録
本研究の目的は,騒音源公共施設に関する情報提供が,近隣住民の音に対する印象や施設受容度に及ぼす影響を調べることであった。東京都内在住の成人(有効回答数1,814)に対して質問紙調査を行った。調査では,騒音公共施設(消防署・公園)の役割や音発生の必然性・意義を説明する「介入群」と,説明を行わない「統制群」の比較を行った。従属変数として,「音の印象」および「施設受容度」を設定した。分析の結果,介入群では統制群と比較して,施設受容度が高くなることが分かった。また,情報提供は,公共施設が発する音の印象を改善することが分かった。これらの結果は,住民の騒音源公共施設の受容度を上げるためには,音の意義や必要性の説明が有効であることを示している。