抄録
「みどりの食料システム戦略」は,有機農業の面的拡大を重要な政策目標に掲げている。しかし,有機農業への転換は労働生産性の低下を伴うとされ,特に大規模経営体は導入をためらう可能性がある。本稿では,兵庫県但馬地域を対象に,経営規模と有機農業の取組水準との関係をTobitモデルにより分析した。その結果,一定の規模を超えると有機農業の取組水準が低下する傾向が確認された。また,「環境保全型農業直接支払交付金」は,有機農業の実施を促進し,大規模経営体の有機農業への転換を可能にする調整効果を持つことが示唆された。したがって,有機農業の面的拡大の実現には,大規模経営体の導入を促す制度的支援が求められる。