抄録
本研究は,日本庭園植栽の動的な空間特性である枝葉の「ゆらぎ」に着目し,三次元点群データを活用して園路上における鑑賞者視点の知覚量を記譜する手法を提案した。京都の渉成園丹楓渓を対象に,園路上に生成した「虚空間セル」から「ゆらぎ」までの距離をもとに遠近感を考慮した計算により「ゆらぎ知覚量」を可視化した。これにより,鑑賞者視点の空間特性を三次元空間に定量的に記譜可能とし,「ゆらぎ知覚量」の三次元分布とシークエンスの特徴を確認できた。本手法は,これまで研究対象とされることが少なかった植栽空間構成の形式知化に資する資料となり,歴史的庭園の保存・継承への応用が期待される。