2009 年 63 巻 1 号 p. 324-331
せん断スパン比およびはり幅を要因に採った鉄筋コンクリートはりの曲げ載荷試験を実施し、土木学会コンクリート標準示方書に示されている曲げひび割れ幅の算定式との比較を行った。曲げひび割れ幅の算定式は、曲げモーメント一定区間に発生した曲げひび割れの中からひび割れ幅の大きい3本の平均値には十分な適合性を有するが、最大曲げひび割れ幅に関しては適合性が低く、十分な安全性は得られないことが示唆された。また、せん断スパン比が4.0以上の曲げ挙動が卓越する鉄筋コンクリートはりにおいても、せん断スパン比の相違が曲げひび割れ性状に及ぼす影響が認められ、この定量的な把握は、曲げひび割れ幅のより精度の良い算定には不可欠となることも示唆された。