2010 年 64 巻 1 号 p. 119-124
本研究では、フライアッシュバルーンの有効利用方法を見出すことを目的に、水熱反応によるフライアッシュバルーン(FAB)を用いたケイ酸カルシウム水和物系固化体の合成について検討を行った。FABは密度約0.76(g/cm3)、50%体積平均径127(μm)の中空球状粒子であり、通常のフライアッシュと比べると、化学組成は同等であるが、構成化合物は、ガラス相が67.1%と大部分を占め、ムライトが26.2%と多く、α-quartzは2.4%と非常に少なかった。OPC-ケイ石微粉末-FAB-水系の水熱合成において、固化体の密度はFAB、水量によって調整でき、FABを粉体中で40-60%用いることで密度が0.60-0.84(g/cm3)程度で、圧縮強度6.5-15.6(N/mm2)の軽量固化体を合成することができた。FABの外殻は水熱反応後もしっかりと残存していた。また、材料分離の抑制には増粘剤の使用が有効であった。