2010 年 64 巻 1 号 p. 35-41
モノサルフェート水和物(AFm相)によるクロム酸イオン(六価クロム)の固定化、および六価クロムと硫酸イオンを含むAFm相からの六価クロムの溶出挙動について検討した。AFm相とCaCrO4・nH2Oとの水和反応では、CaCrO4・nH2O/AFm相の混合モル比が0.50以下のとき、液相に溶出した六価クロムは硫酸イオンとの陰イオン交換反応によりAFm相に固定され、液相のクロム濃度は1.0×10-4mol/L以下に抑えられた。一方、CaCrO4・nH2O/AFm相の混合モル比が0.75以上では六価クロムを含むエトリンガイトが生成し、液相のクロム濃度は1.0×10-3mol/L以上の値を示した。また、六価クロムと硫酸イオンを含むAFm相の溶出試験では、六価クロム含有量の増加とともに液相のクロム濃度は増加した。さらに、硫酸イオンを5mol%以上含むAFm相は、5mol%未満の硫酸イオン濃度のAFm相と比較して液相のクロム濃度が1/4以下となり、六価クロムの固定効果が大きかった。