本研究では、若材齢時の乾燥および炭酸化がセメント硬化体の酸素拡散係数の深度分布に及ぼす影響のメカニズムを解明することを研究の目的とした。高炉スラグ微粉末の置換の有無が異なるモルタル供試体を、CO2を有無の気中にて1面暴露し、暴露面からの深さごとに、飽水度、細孔構造、酸素拡散係数を計測することで、細孔構造および酸素拡散性状の深度分布に及ぼす乾燥および炭酸化の影響を検討した。その結果、若材齢時の乾燥および炭酸化による物質移動抵抗性の変化は、水分逸散、水和、炭酸化の各現象の複合により決定し、特に高炉スラグ微粉末を用いた場合には、乾燥および炭酸化による物質移動抵抗性の低下が、より深部まで及ぶことを確認した。