セメント・コンクリート論文集
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セメント硬化体・モルタルの物性
カルシウムシリケートハイドレート中の水の動的存在状態と相対湿度の関係:2H NMRによる考察
湊大 輔平沖 敏文名和 豊春後藤 卓
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2010 年 64 巻 1 号 p. 82-88

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抄録

セメント硬化体の主成分であるカルシウムシリケートハイドレート(C-S-H)の構造と養生環境の関係を解明するために、2H NMRを用いて4種の相対湿度(以下RH)条件下で乾燥した、重水を用いて作成した白色セメント硬化体中の重水素原子の運動性について検討した。2H NMRスペクトルの解析結果から、セメント硬化体内の重水素はRigid成分とMobile成分に区分されることを示した。また、温度を変えた2H NMRの解析結果から、Mobile成分は表面吸着水と準表面吸着水とに分離されることを示した。さらに、表面吸着水と準表面吸着水の存在比率から細孔表面に存在する水が形成する層の厚さ、すなわち細孔径を算出しC-S-H中の水の動的存在状態の詳細な解析が可能であることを明らかにした。

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