セメント・コンクリート論文集
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セメント硬化体・モルタルの物性
セメント硬化体の吸着等温線のヒステリシスに関する一考察
丸山 一平五十嵐 豪
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2010 年 64 巻 1 号 p. 96-102

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抄録

セメント硬化体の吸着等温線が何に支配されているか、あるいは乾燥プロセス中に任意温度・相対湿度条件下でどれだけの含水状態で平衡となるのかに関する支配的要因を明らかにすることを最終的な目的として、まずは、ヒステリシスが生じるメカニズムを考察した。セメント硬化体の吸着等温線試験を行いそこで生じる現象について既往の文献も含めて考察を行った結果、乾燥条件下、および乾燥後の吸湿プロセスの極初期ではC-S-Hが化学的に反応し、Si-O-Si結合が増加して比表面積が減少するものと考えられた。このメカニズムを検証する目的で、合成したC-S-Hの異なる乾燥条件時の赤外吸収スペクトル、NMRスペクトルを測定し、乾燥条件下でSi-O-Si結合が増加することが定性的に確認された。

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