2012 年 66 巻 1 号 p. 167-174
本研究では、セメント系硬化体の水蒸気吸着量を評価するため、各種水和物およびセメント硬化体の相対湿度0%~97%の範囲の水蒸気吸着量について検討を行った。その結果、合成C-S-Hおよび合成エーライトから水和生成したC-S-Hは、任意の湿度環境下においてCaO/SiO2モル比とH2O/SiO2モル比が直線関係となることを明らかにし、C-S-Hの水蒸気吸着量をその組成に基づいて推定する式を提案した。また、C-S-H以外の水和物であるカルシウムアルミネート水和物の水蒸気吸着量を測定し、C-S-Hの水蒸気吸着量の推定式およびC-S-H以外の水和物の水蒸気吸着量を用いて、セメントペーストの相組成より硬化体全体の水蒸気吸着量を推定した。