エトリンガイト石灰複合型膨張材を高温炭酸ガスで処理し、モルタルに混和して物性を評価した。モルタルの膨張ひずみは、未処理に比べ材齢1日まで小さくなったが、材齢1日以降に大きくなり、材齢7日では未処理品に対して23%増加した。水和反応解析の結果、注水から約6時間、膨張材の水和が抑制され、特に遊離石灰の反応が抑制された。材齢6時間以降の遊離石灰の反応率は未処理品と同程度であった。高温炭酸化処理に伴い、カルサイト含有量が増加し、カルサイトは遊離石灰の表面に厚さ約0.2μmの被膜として生成した。セメントの水和組織が形成される前に反応する遊離石灰が減り、膨張に寄与する割合が増え、膨張ひずみが増加することが示唆された。