セメント・コンクリート論文集
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セメント化学
熱履歴を与えたフライアッシュセメントのケイ酸構造
小泉 公志郎佐藤 正己梅村 靖弘露木 尚光
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2013 年 67 巻 1 号 p. 2-9

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抄録

石炭火力発電により副産するフライアッシュの有効活用の観点から、近年ではフライアッシュを大量に混和したプレキャストコンクリート製品への応用が進んでいる。この際、フライアッシュのポゾラン反応促進を目的として蒸気養生による加温が施されるのが一般的であるが、セメントの水和反応とフライアッシュのポゾラン反応が同時並行で起こるため、その水和反応解析は極めて複雑である。本研究ではトリメチルシリル誘導体化法を用いてシリケート相を構成するシロキサンオリゴマーの鎖長分布を検討することで、熱養生を施したフライアッシュセメントの詳細な水和反応解析を試みた。分析によって得られたシロキサンオリゴマーの鎖長分布から未反応のセメントクリンカー化合物由来の成分を除いて検討を加えたところ、フライアッシュのポゾラン反応では二量体のシロキサンオリゴマーが優勢的にケイ酸カルシウム水和物として供給されることが分かった。また、反応によって生成したシロキサンオリゴマーの単量体/二量体の構成比は反応系中のCaO/SiO2比と相関がある可能性が示唆された。

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