本論文は、収縮低減剤が混和されたセメント硬化体の凍結融解劣化機構を解明するため、ギブス自由エネルギーの差によって働く低温吸水ポンプ作用と未凍結水移動の駆動力の増大によって気泡に隣接する毛細管空隙が断裂するという仮説を立て、凍結融解時の細孔構造変化及び長さ変化測定によって検証を行ったものである。その結果、収縮低減剤を混和したセメント硬化体において未凍結水の移動による毛細管空隙の収縮と比較的早いサイクルでひび割れが内部まで伝播したことを確認し、前述した仮説の妥当性を裏付けるとともに、収縮低減剤の種類によっては凍結融解抵抗性を損なわないことが確認された。