2013 年 67 巻 1 号 p. 587-594
セメントペーストなど凝集性のサスペンジョンは複雑な流動挙動を示す。著者らはその粘性を予測するために、フラクタルな凝集体の形成と破壊に基づくレオロジーモデルを検討してきた。本研究では、試料ごとの粒子充填率の変化を鈴木らのランダム充填モデルから求め、その変化を粒度分布の影響として粘度発現モデルに組み込むこととした。また、粒度分布より得られる平均粒径を用いて、DLVO理論、水和力の考慮より粒子間力を算出した。モデル中の比例係数Kについては、粒度分布より求められるランダム充填率と平均粒径を用いて決定した。その結果、フラクタル次元を適切に推定することで、その流動挙動を予測できることを示した。