セメント・コンクリート論文集
Online ISSN : 2187-3313
Print ISSN : 0916-3182
ISSN-L : 0916-3182
セメント化学
CaCl2の添加がエーライトの水和反応に及ぼす影響
粟村 友貴名和 豊春
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 67 巻 1 号 p. 71-78

詳細
抄録

セメントと水はトポ化学的に反応するため、その反応速度と反応生成物であるC-S-Hの性状とは密接な関係にある。しかしマクロな水和現象とミクロなC-S-Hの化学組成や平均鎖長の変化との関連性は不明な点が多い。そこで本研究では、純水で水和させたエーライト(C3S)と水和促進剤であるCaCl2を添加したC3Sの水和挙動の変化をXRD、29Si MAS NMR、TG/DTAを用いて検証した。その結果、CaCl2はごく初期のC3Sの溶解を促進するが、CaCl2濃度が大きい程、早期に水の拡散律速段階へと移行し、溶解速度が減少することが確認された。また、CaCl2の影響はジェナイト型C-S-Hの生成などのC-S-Hのナノサイズの構造変化に伴うC-S-Hゲルの空隙構造の変化と密接に関連していることが示唆された。

著者関連情報
© 一般社団法人セメント協会
前の記事 次の記事
feedback
Top