理科教育学研究
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原著論文
理科教育における生命倫理のあり方とその意義―初等教員養成科目における「魚の解剖」の実践からの考察―
岩間 淳子松原 静郎小林 辰至
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2011 年 52 巻 2 号 p. 23-32

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抄録

生命観育成及び生物多様性の理解は,理科教育の重要な目標であり,その基盤となる自然体験や体験的学習と生命尊重の指導の必要性が指摘されている。他方,生命観育成において有効であると考えられる「動物解剖」の扱いは近年減少している。本報では,初等教育教員等を志望する学生に対して,生きた魚の解剖を行い,学生の「解剖」に対する考え方の変化及び生命倫理の育成に必要と考えられる科学的知識,生命観,生物多様性の理解等を調査・分析し,理科教育における生命倫理のあり方を検討した。その結果,次のことが明らかになった。(1)解剖に対する肯定的な考え方の学生は,実施前の約50%から約80%に培加した。(2)学生の約80~100%が,魚の外部形態や内部の器官・組織のそれぞれについて名称を対応させて認識していた。(3) 学生の85%が命の大切さ等の生命観に関わる記述をしていた。(4)学生の81%が人と魚の体の構造や機能の共通点と相違等の生物多様性に関する記述をしていた。以上の結果から,魚の解剖が初等教育教員を志望する学生に対する生命倫理を考えさせる上で有効であったと考えられる。

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© 2011 日本理科教育学会
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