抄録
放射光X線散乱とラボラトリーにおけるX線散乱のプロフィールを統合して、超小角領域から広角領域を統一的に解釈できる解析モデルを構築した。この解析手段を用いて、トバモライト生成過程において生成するC-S-Hの構造とトバモライト結晶化の関係を検討した。ディスク状粒子あるいはロッド状粒子が質量フラクタル構造を形成していると仮定したフィッティングモデルを用いて、幅広い領域における散乱プロフィールを再現できた。ここで、X線散乱解析で得られた等価球半径(Re)と29Si固体NMR解析から算出されたC-S-HのSi四面体鎖の平均鎖長が対応しているという興味ある事実が得られた。ミクロおよびマクロなC-S-H構造が、トバモライトの結晶化へ強く影響していることが示唆された。