本研究では、普通ポルトランドセメントを対象とし、鉱物組成からセメントの水和熱を求める手法として、熱化学計算による水和熱の定量的評価法を検討した。本手法では、JIS R 5203に規定される水和熱の測定法をトレースすることとし、セメント鉱物及び水和物の酸液への溶解反応を定式化して、既存のエンタルピーから各反応式の溶解熱を求めた。加えて、未水和セメント及び水和セメントの酸液への溶解熱の実測値に整合するようにセメント主要4鉱物及びC-S-Hのエンタルピーを修正することで、熱化学計算による水和熱の推定精度を向上させた。本手法の検証として、実機セメントの28d水和熱を鉱物組成の実測値から予測したところ、本手法が妥当な推定精度を有しているものと考えられた。