2017 年 71 巻 1 号 p. 62-67
高炉スラグ高含有セメントの水和反応や強度発現性に及ぼす亜硝酸カルシウムや石灰石微粉末(LSP)の影響について検討した。亜硝酸カルシウムの添加により、各材齢で圧縮強さは無添加より大きな値を示した。これは、高炉スラグ高含有セメント中のOPCおよび高炉スラグの反応が促進されるためである。亜硝酸カルシウムの添加による高炉スラグの反応促進は、亜硝酸イオンを層間に含むAFmの生成と関連していると推察した。また、このため高炉スラグの反応率は増加しても、主な水和生成物としてAFtが生成した。亜硝酸カルシウムとLSPの併用は硬化体の空隙量を著しく低減させ、高炉スラグ高含有セメントの耐久性改善に有用な可能性が示唆された。