2018 年 72 巻 1 号 p. 189-196
溶液種類を変えた吸水試験により、人工海水中のイオン種がモルタルの水分浸透に与える影響に関して検討した。その結果、本検討で用いた溶液の濃度では、無機塩の溶解によるバルク中の表面張力と粘性係数の変化は水分浸透に影響せず、マイクロオーダーのチャネルでは溶液種類によって水分浸透時間に差がないことが確認された。そして、Mg2+を含む溶液ではモルタル中の水分浸透が蒸留水と比較して抑制されることが確認され、その原因としてMg(OH)2による空隙の充填が考えられた。さらに、溶岩プレートを用いた吸水試験により水分浸透の抑制に水和イオンが影響している可能性が示唆された。