カマイルカLagenorhyncus obliquidensは春に津軽海峡内に来遊し、4月~6月の間で最も多く観察される。本研究では、2003年5月から2008年8月までに得られた函館~青森間に就航するフェリーからの鯨類目視調査記録を分析し、津軽海峡内でのカマイルカの回遊を明らかにした。カマイルカの分布は時期によって傾向が異なっていた。初期(3、4月及び5月上旬)には、カマイルカは津軽海峡の北部水域で多く発見された。そして、盛期(5月中旬~6月中旬)には、津軽海峡全体に分布が拡大していった。終期(6月下旬~7月)には、津軽海峡南部でカマイルカが多く発見され、それ以降、カマイルカの発見はなくなった。このような回遊パターンは各調査年に共通して見られた。