日本セトロジー研究
Online ISSN : 2434-1347
Print ISSN : 1881-3445
山口県におけるスナメリの地方名の研究
石川 創
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 23 巻 p. 1-5

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抄録

山口県内におけるスナメリNeophocaena phocaenoidesの地方名(別名)について、県内の漁業協同組合へのアンケートおよび聞き取りで調査を行った。回答数はのべ49件で20種の名前が収集できた。スナメリの地方名は県東部(柳井市、上関町、周防大島町等)では「デゴンドウ」が最も多く、デゴン、レゴンドウなど同じ語源から派生したと思われる「ゴンドウ」のつく名称が多かった。一方、県西部(山口市~下関市)では「ナメ」「ナメット」など「ナメ」のつく名称が多く、東西ではっきりと呼称が分かれた。この他「ボウズ」の名称が東西両方で見られた。明治以前の文献を見ると、スナメリの呼称は「ナメリ」「ナメイヲ」など「ナメ」を含む名称が最も古く、「デゴンドウ」は広島県や周防大島等で使われていた「ゼゴンドウ」の名称が語源である可能性が高い。現在の「スナメリ」の名前は、1808年の鯨史稿に記載されたことに基づくと推測される。

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© 2013 日本セトロジー研究会
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