日本セトロジー研究
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北西太平洋初の鮮新統産アルビレオ科の耳周骨と千葉県銚子市の名洗層産マイルカ上科耳骨群集の古動物地理学的意義
Mizuki MurakamiYoshiki Koda
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2013 年 23 巻 p. 13-20

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抄録

千葉県銚子市の鮮新統名洗層から産出したアルビレオ科の耳周骨を記載した。アルビレオ科化石は北西太平洋では2例目で鮮新統からは初の産出となり、本標本の発見は同科の古生物地理分布の知見を大きく向上させた。この耳周骨はタイプ種であるAlbireo whistleriと以下の形質を共有する: 大きな外リンパ管口;台形の蝸牛殻;尾側突起と内耳部の外側縁が大きな角度を形成する; 耳周骨後突起の関節面は内外方向に狭く、浅く幅広い溝がいくつか存在する。しかしながら,本標本の内耳道と前方突起の形態はタイプ種とは大きく異なるので未記載種に属すると考えられる。名洗層産のマイルカ上科の耳骨化石群集は、北西太平洋域の鮮新世のマイルカ上科動物群集と太平洋内の他地域との比較を行う上で非常に重要である。なぜなら、名洗層は、北西太平洋域の他の主要な化石産地に比べて、その古環境が東部太平洋域における主要化石産地の古環境により近いからである。

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© 2013 日本セトロジー研究会
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