日本セトロジー研究
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日本海西部(山口県・島根県)のミナミバンドウイルカの写真カタログ及び出現の記録
久志本 鉄平落合 晋作立川 利幸石橋 敏章
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2016 年 26 巻 p. 1-6

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抄録

2013年3月20日に山口県下関市角島西岸で発見したバンドウイルカ属(Tursiops sp.) の群れから、背びれ傷跡を用いて10頭の写真識別カタログを作成した。その後、2013年4月18日に山口県長門市川尻で発見した10頭程度の群れのうち、8頭が写真照合により識別番号を付けた個体と一致した。また、協力者より提供を受けた写真情報より、2006年7月25日に長門市青海島北岸で2頭、2014年3月16日に角島西岸で8頭、2014年7月4日、11月23日、11月28日に島根県出雲市多伎町で、少なくとも1頭が識別番号を付けた個体と一致した。さらに、2015年4月24日に長門市青海島で水中撮影された映像から、識別番号を付けた個体が少なくとも2頭確認された。これらのバンドウイルカ属の群れは、背びれの形状やくちばしの形状から、ミナミバンドウイルカ(Tursiops aduncus)であると判定した。このことから、ミナミバンドウイルカの群れが一定期間山口県から島根県にかけての海域を利用していることが示唆された。これまでに、山口県及び島根県内では、バンドウイルカ属の目撃情報は少なく、ミナミバンドウイルカの確認は今回が初めてとなる。今後、情報を蓄積することで、本種の来遊状況や個体の移動など、生態的知見を得ることができると期待される。

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© 2016 日本セトロジー研究会
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