茶業研究報告
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二番茶の摘採とその後のせん枝が秋季の樹冠と翌年一番茶に及ぼす影響
中野 敬之
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2009 年 2009 巻 107 号 p. 107_31-107_49

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抄録

二番茶を晩期に摘採した後にせん枝すると,秋季における樹冠のバイオマスは顕著に減少した。二番茶後のせん枝が秋整枝後の樹冠表面の芽数に及ぼす影響は二番茶の摘採時期によって異なり,二番茶を早期に摘採した場合はせん枝位置が低いほど(せん枝強度が大きいほど)芽数を増加させたが,二番茶を晩期に多収で摘採した場合はせん枝位置が低いほど芽数を減少させた。しかし,二番茶を早期に摘採してせん枝した場合でも翌年一番茶の新芽数が増加することはなく,二番茶後のせん枝位置が低いほど,翌年一番茶の新芽数を減少させて,百芽重を増加させる効果があった。二番茶後のせん枝が翌年一番茶の早晩に及ぼす影響については,せん枝位置が低くて,秋整枝位置が高い組み合わせにすると,翌年一番茶の生育が極めて遅れた。一番茶の摘採時期は,せん枝位置が低いほど遅れた。二番茶後のせん枝が翌年一番茶の収量に及ぼす影響は年次によって異なり,増収する場合と減収する場合があり,安定していなかった。ただ,二番茶後にせん枝した区の中で二番茶摘採の早晩が翌年一番茶収量に及ぼす影響を比較すると,晩期摘採は早期摘採よりも一番茶収量が少なかった。二番茶後のせん枝が翌年一番茶の品質に及ぼす影響については,せん枝が全窒素含有率や遊離アミノ酸含有率を低下させ,官能審査点も低下させる傾向がみられたが,一番茶の収量が多かった区の低下が目立った。以上のことから,二番茶を晩期に多収で摘採した後のせん枝は秋季までの新梢の生育を劣らせて翌年一番茶の減収を招くことが明らかになった。

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© 2009 日本茶業技術協会
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