土壌センサーWD-3-WET-5Y (A・R・P社,以下WD-3) で測定する電気伝導度 (以下,ECa) および体積含水率 (以下,センサーϑ) の情報を遠隔地からリアルタイムに取得し,土壌中無機態窒素量を推定する技術について検討した。室内試験によるセンサーϑの校正後,WD-3をほ場へ設置し,原位置から14組のデータ (センサーϑ,ECa,ECw,炉乾法ϑ,乾燥密度,EC1:5,無機態窒素量) を取得した。取得したデータからRhoadesモデルのパラメータを決定し,WD-3の測定値からECwを推定した。また,ECwおよびセンサーϑからEC1:5を推定し,EC1:5から無機態窒素量を推定した。以上により,WD-3を設置したほ場の土壌中無機態窒素量を,遠隔地からリアルタイムに把握できる推定式ができた。
チャノミドリヒメヨコバイはチャの新芽を吸汁加害し,製茶品質と収量に悪影響を及ぼす重要害虫である。その防除手段は化学農薬が多くを占めており,本種に適用があり,かつ現在チャの有機栽培で使用が認められている農薬は存在しない。有機JAS認証資材である天然ピレトリン剤 (商品名:除虫菊乳剤3®) は,本種への防除効果が確認されているものの,致死効果の残効性および,非致死効果については明らかにされていなかった。本研究ではチャノミドリヒメヨコバイの室内飼育試験により,これらの特性の解明を試みた。天然ピレトリン剤を浸漬した新芽では,幼虫に対して約50%の死亡率がみられた一方,成虫に対しては約20%に留まった。また散布茶園から1日後以降に採取した新芽上では,成虫・幼虫とも死亡率は無処理と同程度となり,殺虫効果の残効期間は1日未満であることが判明した。さらに非致死効果の指標として,吸汁量と相関のある甘露排出量を調べたところ,散布翌日に採集した新芽で飼育した成虫の甘露排出量は無処理よりも有意に低下し,本剤の非致死効果として吸汁阻害の存在が示唆された。
烏龍茶は日本国内でも広く消費されており,その品種ごとの特性や消費者嗜好の理解は,国産烏龍茶の市場拡大に寄与すると考えられる。近年,宮崎県総合農業試験場茶業支場とカワサキ機工株式会社により,茶葉を均一に萎凋させることが可能なドラム式萎凋機が開発された。本装置は高い香気発揚効果を実現できるとされているが,ドラム式萎凋機を用いて製造された烏龍茶に対する消費者評価に関するデータは十分ではない。そこで本研究では,ドラム式萎凋機を用いて製造した ‘やぶきた,たかちほ,うんかい’ の3品種の国産烏龍茶を対象に,消費者嗜好性調査を行い,その評価を分析することを目的とした。
嗜好性調査には,味覚評価において広く用いられるVisual Analogue Scale (VAS) 法を採用し,総合的な好み,香りの好み,味の好みの3項目について評価を行った。その結果,3品種ともに概ね高評価を得たが,品種間で嗜好性に差が見られた。特に ‘たかちほ’ はすべての年代で最も高い評価を受け,味の好みが総合的な嗜好性に強く影響していることが示唆された。一方,‘やぶきた’ は香りの評価が低く,総合的な好みも他の品種に比べて低い傾向を示した。