チャハマキの発生状況と防除適期を確認するためのチャットボット開発を目的として,画像処理法の検討及びプログラム開発を行った。
1) 粘着板の画像からチャハマキを抽出する画像処理プログラムの作成にあたりRGB色空間とHSV色空間を検討した結果,HSV色空間で2値化処理をすることが有効であった。
2) Webカメラの撮影時刻を決定するにあたり,夜間にチャハマキが誘殺されない時刻を調査した。季節変動はあったが全世代を通して朝4時〜日の出前の時間帯では誘殺が認められなかった。そのため,夜間撮影可能なカメラを使用する場合は,同時間帯に撮影した画像を使用して画像処理を行うことが有効であると考えられた。
3) 開発したプログラムは多くの茶生産者が日常的に利用しているLINEアプリと連携させることにより,複雑な操作もなく,いつでもチャットボット形式で同プログラムを活用できるようになった。
このチャットボットを活用することにより,茶生産者自らでチャハマキに対する防除適期の判断ができるようになることが期待できる。
静岡県のチャ生産では,管理面積の増加により,簡易的な生育状況の把握が求められている。そこで,本研究では安価な携帯型NDVI測定器「GreenSeeker 2 (GS)」を用いたチャの生葉収量及び成分推定技術の開発を行った。
GSの測定条件,主要品種‘やぶきた’におけるGS-NDVIと生葉収量及び成分の関係性,推定精度の検証,‘やぶきた’を除いた他品種における推定精度の検証,同機種機器間の誤差の検証を行った。GSをチャで使用する場合は最終整枝面から100 cm上での測定が適していること,‘やぶきた’一番茶ではGS-NDVIが生葉収量と高い相関性が認められ,生葉収量推定に有用であることが示された。一方で,二番茶ではGS-NDVIの変化量が少なかったことから、推定に適さない可能性があり,‘やぶきた’以外の品種では,品種ごとに推定差異が認められ,品種ごとに推定式を作成する必要があると考えられた。また,複数の機器間で測定誤差が確認されたが,補正は可能であると考えられる。
チャを加害するニトベミノガ幼虫の垂直分布の調査を行ったところ,幼虫密度は5月中旬にはチャ樹の上層で最も高かったが,しだいに中・下層との差が小さくなった。幼虫は,浅刈り (上層の除去) により50.8 %,深刈り (上層および中層の除去) により85.4 %が除去された。うね間に放飼した幼虫は18.7 %がチャ樹上に移動した。剪枝による幼虫の除去は羽化前の6月上旬までに行うことが望ましい。幼虫の死亡要因はミノムシヤドリバエによる捕食寄生が最も高く,寄生率は6月8日の調査では25.3 %,7月18日の調査では69.6 %であった。病死の疑いはそれぞれ39.7 %,0 %であった。今後,剪枝による幼虫の除去と天敵類の保全的利用を組み合わせた防除技術の開発が望まれる。