茶業研究報告
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ピリプロキシフェン剤の冬期散布によるチャ寄生クワシロカイガラムシの長期密度抑制効果
吉岡 哲也堺田 輝貴中園 健太郎福山 昭吾
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2010 年 2010 巻 110 号 p. 110_19-110_28

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抄録
ピリプロキシフェンMC剤によるクワシロカイガラムシの長期密度抑制効果を検討するとともに,散布時期,散布量,中切り処理が防除効果に及ぼす影響について調査した。本剤の冬期散布によるふ化幼虫の補正死虫率は,5月の第1世代で98%,7月の第2世代で78%と高く,1回の散布で約5カ月間,殺虫効果が持続した。1月下旬と3月下旬に散布した場合では防除効果に差はみられなかった。また,本剤散布と散布翌年の中切りを組み合わせた場合,散布後3年間,発生程度は低密度で推移した。さらに,乗用型防除機を用いた1,000L/10a散布と700L/10a散布では同等の防除効果が認められた。全ての試験における本剤散布後の雄繭発生程度は,散布翌年まで,散布を2回実施した慣行防除と同等かそれ以下であり,本種に対する本剤以外の防除は2年間必要なかった。これらのことから,本剤は農閑期の冬季散布により労力分散が図られること,長期密度抑制により薬剤散布回数の削減が可能なことが明らかとなった。
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© 2010 日本茶業技術協会
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