茶業研究報告
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炭疽病及び輪斑病に抵抗性を有する煎茶用品種‘はるのなごり’の育成
吉留 浩佐藤 健一郎長友 博文水田 隆史佐藤 邦彦古野 鶴吉上野 貞一平川 今夫安部 二生
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2011 年 2011 巻 111 号 p. 111_1-111_13

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抄録

‘はるのなごり’は,1986年に宮崎県総合農業試験場茶業支場において,‘埼玉1号’を種子親,‘宮崎8号’を花粉親として交配した中から選抜し,2008年に品種登録出願し,公表されたやや晩生の煎茶用品種である。
1998年から2006年まで‘宮崎25号’の系統名で16場所で系適試験,2場所で特性検定試験(もち病,裂傷型凍害)が実施された。
その結果,炭疽病及び輪斑病に抵抗性を有し,晩生で収量及び品質が優れることから普及に移し得ると判断され,2008年10月20日に種苗法に基づく品種登録出願を行い,同年12月19日に公表された。
‘はるのなごり’の特性の概要は次のとおりである。
1)一番茶の萌芽期は,‘やぶきた’より4日程度,摘採期は3日程度遅いやや晩生品種である。
2)樹姿はやや開張型,樹勢はやや強,株張りは‘やぶきた’より大きい。
3)耐病性は,炭疽病には強,輪斑病にはやや強,もち病には中である。
4)クワシロカイガラムシに対する抵抗性は中で,‘やぶきた,かなやみどり’より優れる。
5)耐寒性は,赤枯れにはやや強,裂傷型凍害にはやや弱~中である。
6)収量は‘やぶきた’より多い。
7) 煎茶品質は,‘やぶきた’と同程度で,‘かなやみどり’より色沢,香気が優れている。

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© 2011 日本茶業技術協会
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