茶業研究報告
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リン酸塩の形態と茶樹による吸収との関係
河合 惣吾池ケ谷 賢次郎
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1966 年 1966 巻 25 号 p. 67-70

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抄録

放射性リン酸32Pで標識したリン酸一石灰,リン酸鉄およびリン酸アルミニウムを用い,牧之原台地赤黄色土を供試したポット試験で,茶樹によるこれらリン酸塩の吸収について調べた。その結果を要約すると次のとおりである。
1.一番茶摘採の12目前に放射性リン酸32Pで標識したリン酸一石灰,リン酸鉄およびリン酸アルミニウムを施用したが,この場合には新葉に含まれる施肥リン酸含量の全リン酸含量に対する割合は10%以下であった。
2.一,二g三番茶の新葉および若枝へ吸収された施肥リン酸含量の全リン酸含量に対する割合についてみると,各茶期ともリン酸一石灰区〓リン酸鉄区>リン酸アルミニウム区の順であった。
二,三番茶においては,リン酸一石灰区,リン酸鉄区の新葉,若枝にはいずれも全リン酸含量に対する施肥リン酸含量の割合が40~70%であり,リン酸アルミニウム区では35%前後であった。
3.若枝の全リン酸含量に対する施肥リン酸含量の割合は新葉のそれよりも多かった。
4.ポットに標識リン酸を施用してから90日経過後にこれらの形態転移割合を調べたところ,リン酸一石灰はその58がAL型に,19%がFe型に転移した。リン酸鉄はAl型へ約35%,リン酸アルミニウムはFe型へ約30%転移していた。

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