茶業研究報告
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ミストボックスを利用した茶樹の地上部と地下部の生長周期の観察
簗瀬 好充
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1974 年 1974 巻 41 号 p. 12-15

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抄録

2年生苗,1年生苗およびさし木当年苗を用い,硬質塩ビ製暗箱内に根系部を吊り,水耕培養液を噴霧して栽培したところ,地上部・地下部ともに,土壌に定植した場合とほぼ同様な生育を示した。
定植後の新根の発生は,約1ヵ月後から観察されたが,定植時に損傷を受けた細根は枯死し,そのまま付着するのみで,定植後の根系は木化根の先端かあるいは基部から発生した新根によって形成された。
細根の伸長量は6~8月に少なく,8~9月に最も多い傾向を示し,9月以後も12月まで生長を続け,さらに12月頃から木化根への移行がみられた。しかし,さし木当年苗の場合は,木化根への移行までにほぼ1ヵ年を要した。
地上部と地下部の生長は交互に行なわれ,新芽の生長がおおよそ停止した後に新根の発生がみられた。また,仕立てのために,地上部を強くせん枝した場合は,新芽が発生し,それが生長を完了した後に始めて根の生長が再開された。

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